目を覚ますとセフィロスの視界には天井が広がっていた。
間もなく、彼を同僚の1stと白衣の女がぐるり囲む。
「おい!気が付いたぞ!」
「後頭部に打撲と、倒れた際の裂傷が残ってますが、深くはないからすぐに回復しますよ。」
「アンタ、廊下で脳震盪起こしてたんだ。運ぶのに苦労した。」
「誰にやられた!?」
「セフィロスに一撃食らわせるなんて、相当の手練だな…。」
「やはりビル内に潜り込むなんていい度胸をしているよ。」
次々に流れ込んでくる言葉に瞬きをしていると、枕元から親しみのある顔と声が飛び出した。
「おっさん、よかった!…俺っ!もう、ほんっと…っ、びっくりして…!!」
「ザックス。」
「ああっ、もうラーメン伸びちゃってるんだろうな。でもいいんだ、無事だったならもういいや。」
感情に流されやすいザックスらしく、堰をきりそうなほど目に涙を溜めている。あ、泣いた。
横たわる大男の周囲で同僚たちは意見を交換し合っていた。
セフィロスはどうやら廊下のど真ん中で頭から派手に血を流し倒れていたらしい。
ぐったりする英雄。口論する同僚。大泣きの犬。事情聴取に来たタークス。
セフィロスが神羅に舞い降りてから約三十年。
前代未聞のこの出来事は未解決のまま時が流れることになるのだが。
本当のところはセフィロスだけの秘密である。