多くの仲間・部下に慕われていた古参のソルジャーの引退にあたり身内だけでお別れ会をすることになった。お別れ会とはいえいつ何時指令が下るかわからないから、それは昼飯時の1時間を利用して行われる運びになった。参加した面子の中にはセフィロスもいるというあたり主役であるソルジャーの人となりがよくわかるというものである。
そして、ザックスはというと、散々だった。


「あっはっはっはっはっはっ!!!」
「あはっ、ブフッ、ぷ……はははははははははははは!!」
「ないないない!!!これない!!!わははははは!!」
「き、きもっ!!きもーーーーーー!!!」


可愛がってくれた先輩のためにプレゼントを贈る役を買ってでたのはよかったが、誰がどこで用意していたのか白レースがふりふりミニスカートメイド服を着用させられる羽目になったのである。ザックスの嫌がりようは壮絶で、巨体のソルジャーが3人がかりで彼を抱え込んで着替えさせるためにトイレに連れ込んだほどだ。
そして案の定この爆笑の渦である。しかも主役である古参のソルジャーにすら「お前気持ち悪い」と言われてしまった。相手の顔が笑いすぎて攣りそうになっていたのが救いだったといえる。真顔で言われたら彼は立ち直れなかっただろう。
晒し者になりながらも正直楽しいと感じているのが悲しい。ザックスがそう心の中で嘆いているといつの間にか隣にセフィロスが立っていた。周りの連中は次第に落ち着き、各々昼食をとりながら昔の思い出話に花を咲かせていく。どうやらザックスのサプライズはもう用済みになったようだ。
何だかんだで嬉しそうな先輩を見ると心が温かくなったザックスは、さーて着替えてきますかと踵を返した。



「意外と脚が綺麗なんだな。」というセフィロスの言葉に派手にすっ転び、しみったれたボクサーパンツを皆にお披露目したのはその直後のことである。

022 女装してみたら意外とハマりそう