出会ってから1年、気になり始めて1年、恋と自覚して1年。
行動派でせっかちなザックスにしては長い間悩んだと言える。しかもお相手が世界中で知らない最強のソルジャーと謳われる英雄だ。これはもう告白できたこと自体がお前勇気あるなと褒めてあげたいくらいである。
そんなザックスのだめもと告白への返事は即答でYESだった。

「オレ、男だぜ?」
「ああ。」
「好きって付き合いたいってことだぞ?」
「ああ。」
「ホモだぞ?」
「ああ。」
「〜〜〜、冗談じゃないんだぞ!?」
「わかっている。」
「………でもっ」
「時間を取る。週末に食事をしようか。」
「………」
「返事は?」
「……………………行く。」

初めて会ったときのこと。重なった視線のこと。微笑み返されたこと。不意に名前を呼ばれたこと。名前を覚えてくれていたことに感動したこと。共に行うミッションが増えたこと。いつの間にか肩を並べて剣を振るうようになったこと。俺の好きなお菓子が彼のデスクに置いてあるようになったこと。自棄になったとき本気で殴ってくれたこと。時々頭を撫でてくれたこと。あと数え切れないいろんなこと。
確信犯。そう気付いてザックスは形の良い唇を両手で覆った。顔が真っ赤になった。笑うな馬鹿!

016 罠を仕掛け過ぎて把握出来ていないんですよ