意志はあっても身体は動かない。消えていく。知識や記憶、たくさんの想いが流れ込んできても、もう何も出来ない。
神。神。俺は神様になって何をするつもりだったんだろう。クラウドたちをねじ伏せてどうしたかったのだろう。
閉じるもなにも、すでに瞼すらないのだけれど、瞳を閉じたつもりになってみた。
セフィロスの中に浮かび上がったのは、妬み・疎み・孤独、そしてそれを掻き消してなお有り余る、愛・慈しみ・信頼。
神様にならなくたってほしいものは初めから持っていたのになぁ。
どんな気持ちを抱いても声にもならなくて、愛した人たちや愛してくれた人たちを想ってみてももう遅くて、ただキラキラとライフストリームが輝いているのを感じるだけ。それがまるで自分の涙のように思われて、セフィロスはもし肉体があれば泣いているんだろうなとうすぼんやりと考えていると、オッサンは何でも難しく考えすぎなんだよ、と聞き慣れた親しみのある声が聞こえた気がして、それならばと精一杯厭味ったらしく笑ったのを最期に意識も途切れてしまった。

001 これから私を神と崇めていいですよ