「ちょっとー、マジ冷めるんですけど!」
「いや…」
「折角きたんだから泳ごうぜーーーなあクラウド!おっさんて!!」
「…俺は、遠慮しておく。」
「もうほんっとありえない!ありえない。この人たち。」
ザックスは水着に着替えようとしないセフィロスとクラウドを軽く睨みつけると盛大に溜息をつき、レノとルードとタークスの女性を無理やり付き添わせてジャブジャブと海へ入っていった。
「サー、俺すごく寒いです。」
「寒いな。」
「…あの、」
「俺もなんだ。」
――やっぱり。
その一言を飲み込んでクラウドは海を見た。
セフィロスとクラウドは別に口裏を合わせたわけでもなく自然と砂浜へ降りる階段に腰をかけて海を遠巻きに見つめていた。それはお互い各々考えてザックスの誘いを断り各々考えてこの場所に座ったということだ。
ザックスたちはというと楽しそうにはしゃいでいる。
ビーチボールを使ってキャーキャーと騒ぐ姿は微笑ましい。
でも。
「とても入る気など起こらんな。」
「はい。」
「………」
「すごい、ぷかぷか浮んでますよね。」
「ああ。沖までびっしりと。」
自然とクラウドとセフィロスの距離が縮まる。
二人の目にははっきりと波が揺れる度に浮き沈みするものが見えているから。
「…寒いな。」
「…寒いですね。」
その日の夕方、海をバックに記念写真を撮った。
後日それを見たザックスとタークスの面々が絶叫したのはいうまでもない。