英雄という肩書きに自ら甘えていた部分はあったことは否定できないし、年端もいかない一般兵を言い包めて手篭めにすることぐらい容易いと思っていた。言っておくが俺はゲイじゃない。ただそのチョコボがめちゃくちゃ美人のCG顔だったからちょっとだけ悪戯しようと思っただけだ。いわれのない誹謗中傷はやめていただこう!!
――まあ、それでだ。
初めて話しかけたときは少なからず相手も緊張していたようだが、半年の時間をかけて懐柔しただけに手応えはあった。
そこでもう一歩踏み込もうとした矢先だった。
「話し…話しかけないでください!!」
名実共に乗りこなさんとした相手に逃げられたというわけだ。

おまwwww俺がどんだけ仕事のスケジュール調整しまくってたとwwwwwww

こっちを誰だと思ってんだ調子こいてんなこのクソガキ。
と、初めこそ相手に憤りばかり沸いてきたものの、暫くすると有り得ないほど悲しくなってきてしまい、ろくに飯も喉を通らなくなるまでそう時間はかからなかった。自分マジウケるんですけど。
自宅に帰っても電気もつけずにぼんやりしていると、おどおどしながらも話を合わせてくれていた姿や自販機でジュースを奢っただけではにかんでいた姿が、一緒にいるときに見せてくれた色んな表情や仕草がたくさん浮んできてしまってやりきれなくなった。

仲良くなるのに時間をかけたり、メールの内容にいちいち悩んだり、遊びに誘うのに緊張したり。
あんなに拒否されたのにどういう手はずで仲直りするか今も必死に考えている俺がいたり。
よくよく考えればどうでもいい相手にそんなことはしないものだ。
これが友人としてなのか恋愛対象としてなのかはまだよくわからないが、ともかく俺は真剣にその子どもが好きになっていたらしいと漸く気付いた。

あの子は確かハリネズミと友人関係だったように記憶している。
そうだ。

――明日はザックスに嫌がらせしよう。