クラウドは呆けていた。
女の子にフラれて嗚咽を漏らしまくるザックスはいくら慰めても泣き止まない。クラウドは憧れのソルジャーのそんな姿に頭が痛くなる思いだった。
何故アイツがセフィロスの片腕が務まるんだとついつい仲の良い食堂のおばちゃんに愚痴を零してしまったのだが、偶然にもおばちゃんはザックスのファンクラブ(そんなのあんのかよ)プレミア会員でかつ会員番号1番(「ザックスくんが直々に会員証くれたのよぉ」おばちゃん談。って自分で作ったのかよ)らしく、セフィロスとの初仕事の模様を収めたROMカードというものを見せてもらえた。ミッションは機密なんだから一般人に見せちゃだめってことぐらいわかりそうなものだが、でも英雄との仕事となればあのザックスもきっと浮かれていたんだろう。
早速携帯に繋いで再生したクラウドはその場で固まることになる。
武装したウータイ兵が次々に発砲しているというのに嬉しそうにニヤけた顔をして真っ向から敵に駆け寄っていくザックスが映っていた。3mほど跳躍して兵たちの上を跳び越したり銃を構えた敵の腕とどてッ腹のみを器用に狙って斬り倒す親友の姿に開いた口が塞がらない。セフィロスはといえば、ザックスが斬り逃した連中を相手するだけで友人を見守る役に徹している。
いらっしゃいませて。りょーかーいて。
血いっぱい出とるがな。
ていうかめちゃめちゃミサイル撃ってきとるやん。
ものっそ嬉しそうやん。
ていうかこんときのザックスオレと同いてほんま無理。
無理無理。オレこんなん無理。
クラウドはソルジャーという夢が果てしなく遠いことを実感するのだった。